事業会社におけるDXの秘訣 - ボトムアップのコミュニケーション設計の肝

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はじめに

KADOKAWA ConnectedにてCustomer Successチームをリードしています菊本です。私達のチームは、KADOKAWAグループおよびKDX道場のお客様に対して、生産性を高める働き方改革の支援を手掛けています。

以前、事業会社におけるDXの秘訣 - ツールをてこにコミュニケーション改革を実現する というブログを公開させて頂きましたが、実際にやってみようとすると簡単じゃない!というフィードバックをKDX道場のお客様(企業内のDX推進担当の方)より頂きました。

そこで今回は、私達のこれまでの社内外におけるコミュニケーション改革のご支援の経験を踏まえて、これだけは押さえておきたい「ボトムアップのコミュニケーション設計の肝」をお届けすることにしました。ちょっとしたことなのですが、とても重要なポイントですので、是非お役立て頂ければと思います。

なお、前回のブログにて、コミュニケーション設計の全体像についてまとめていますので、まだお読みになっていない方は事前にこちらをお読みください。

engineering.kdx.co.jp

コミュニケーション設計の肝①
- コミュニケーションの場は事前に設計しておこう! -

コミュニケーションの場とは、会議体、チャットツールのチャンネル(関係者が参加している部屋のようなもの)、クラウドストレージなどのファイル共有場所を指します。ツールは色々あれど、重要なのは会議体、チャンネル、ファイル共有場所を用途に合わせて"事前"に設計しておくことです!

例えば、何かトラブルが発生した際にチャットツールのチャンネルを作ると、情報を共有すべきメンバーが抜けてしまったり、また似たようなコミュニケションの場が沢山出来て、使い分けが分からなくなる可能性が非常に高いです。これを読んで頂いている皆様も、ご自身のチャットツールに使い分けが分からない、用途不明なチャンネルはありませんか?

既に運用中のコミュニケーションの場がある場合は、まずは現状のコミュニケーションの場を棚卸しして、その上で統廃合を計画的に進めましょう。そして、皆が迷わずコミュニケーションの場を使いこなせるように、定着させていきましょう。

ちなみに、チャットツールのチャンネル名はなるべく短くする、そして似たような内容のチャンネルを使い分ける場合は、接頭からなるべく名前を合わせて、接尾に使い分けのキーワードを入れるようにすると、チャンネルの識別がやりやすくなりますよ。

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@Yoji Kikumoto Kadokawa Connected, Motoko Watanabe Kadokawa Connected, Minori Kambe 2021

コミュニケーション設計の肝②
- オープンなコミュニケーションにチャレンジしよう! -

コミュニケーション改革で実現したいことは、情報連携のスピードと精度を向上させることです。ただし、これまでのメールや電話での1対1のクローズ型のコミュニケーションでは、これまで以上にスピードと精度をあげることが難しいです。そのため、チャットツールを用いたコミュニケーションにチャレンジしよう、と考える方が増えて来ました。

ここで注意点なのですが、コミュニケーションツールを単純にメール・電話からチャットツールに置き換えるだけでは導入効果はほとんど無い、ということです。むしろ、メール、電話、チャットツールと併用するツールが増えることのデメリットの方が大きくなるケースもあります。チャットツール導入のタイミングで重要なのは、オープンなコミュニケーションにチャレンジすることです。

チャットツールでは、以下の3つの場で情報発信が出来ます。

  • パブリックチャンネル(Public):誰でも自由に参加して参照・書き込みが出来るチャンネル
  • プライベートチャネル(Private):招待された人だけが参照・書き込みが出来るチャンネル
  • ダイレクトメッセージ(DM):特定の宛先の間での個別のやり取り

ダイレクトメッセージ(DM)は、これまでのメールに近いクローズ型の情報発信です。一方でパブリックチャンネル(Public)は、全社にて情報を必要とする人誰もが情報を入手出来るオープン型の情報発信です。私達は、広く情報を発信することをオープンなコミュニケーションと呼んでおりまして、順番に並べると DM < Private < Public の順でよりオープンなコミュニケーションとなります。

オープンなコミュニケーションに変えることのメリットですが、マンガに記載されている通り、文字で伝えることで曖昧さが排除され、また意思決定に至ったプロセスが関係者に共有されるようになり、結果的に意思決定のスピードと精度が向上します。

一般的に、エンジニアの方は業務でチャットツールを使いこなしていると言われますが、オープンなコミュニケーションの中でエンジニアリング的に正しいことを追求する特性が、チャットツールと相性が良いからだと思います。

対して、事業会社におけるビジネスサイドの方は、不確実なビジネス環境において関係者を絞った枠組みでの意思決定をせざるを得ないことが多いため、クローズ型のコミュニケーションが一般的に用いられるのだと思います。しかしながら、このコミュニケーションがビジネス推進のボトルネックになっている可能性が高いです。ですので、エンジニア的な思考をビジネスサイドの方が身につけて、オープンなコミュニケーションを実践出来るようにすることが、コミュニケーション改革を実現するうえで効果が大きいと考えます。

とはいえ、オープンなコミュニケーションにチャレンジすることは、心理的負担がとても大きいことなので、皆で支え合ってチャレンジしていきましょう。チャットツールを導入するタイミングは変化を起こすチャンスです!

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@Yoji Kikumoto Kadokawa Connected, Motoko Watanabe Kadokawa Connected, Minori Kambe 2021

コミュニケーション設計の肝③
- フロー型・ストック型のコミュニケーションツールを使い分ける -

前回のブログでも書きましたが、皆様が業務で利用されているコミュニケーションツールを、特性に応じて使い分けることが重要です。例えば、資料の共有をメールに添付したり、チャットツールで共有するとします。その場で内容を確認するのは簡単ですが、後から"あの時のあのファイルどれだっけ?"となった時に、最新版のファイルを探すのは難しいです。といいますのも、メールやチャットツールはフロー型のツールであり、ストック型ツールではないため、です。ですので、フロー型・ストック型の利点を理解して使い分けることが重要です。

フロー型:リアルタイム性が高く、ディスカッションや情報共有が得意。ただし、後で振り返って情報を探すのが大変なことも。

ストック型:情報を再活用しやすい形で格納することで、情報を必要とする人が正しい情報にアクセス可能に出来る。

ここで、皆様の会社で使われているITツールを、上記の特性に合わせて棚卸ししてみましょう。そして、それらのツールの利点を活かした、皆様の会社なりの使い分けのルールを決めましょう。これだけで情報連携のレベル感は格段にアップ出来ると思います。

ちなみに、私見になりますが、各社の事情により様々なコミュニケーションツールを利用されているかと思いますが、ツールの良し悪しを比較するよりも、ツールの特性にあった使い方を研究する方が重要だと考えます。ツールはあくまでテコに使うものなので、大切なのはどういうコミュニケーション設計とすべきかを考え抜くことです。

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@Yoji Kikumoto Kadokawa Connected, Motoko Watanabe Kadokawa Connected, Minori Kambe 2021

コミュニケーション設計の肝④
- ボトムアップで新しいコミュニケーションスタイルを定着させる -

デジタルツールを使ったコミュニケーションのスピード・正確さは、一部の得意な方々が実践すれば良いわけではなく、得意ではない方々のスキルを上げていくことで初めて全社横断のレベルアップに繋がります。そのためにも、ボトムアップで新しいコミュニケーションスタイルの定着とレベルアップを目指す必要あります。

とはいえ、うまく活用出来ていない人にデジタルツールの使い方をわかりやすく説明するのが難しいこともあるかと思います。そんな時は、このマンガを使って新しいコミュニケーションスタイルの理解を深めてください。

ボトムアップによるコミュニケーション改革が、結果的には、自社の持つ強みを活かすDX推進を進める大きな力になります。

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最後に

今回はコミュニケーション設計を改めて考え直してみました。恐らく、ベンチャー企業や外資系でお勤めの方は、当たり前にこういったコミュニケーションを実践されていると思います。一方で、歴史ある事業会社にお勤めの方は、これまでの業務フローが凝り固まっており、それを壊したうえで新しいチャレンジをするのが難しく、なかなか今まで取り組めていなかったのではないかと思います。

とはいえ、DXを推進するうえで、コミュニケーション改革は基本中の基本です。着手が容易で効果も見込めるものですので、本ブログを呼んで共感頂けた方は、是非ここからスタートしてみてください。

なお、KADOKAWA Connectedでは、コミュニケーション改革をリードされる皆様をご支援する、DXアドバイザリーサービスを提供しています。KADOKAWAにおけるコミュニケーション改革の経験を元に、皆様をサポートさせて頂きます。ご興味がありましたらお問い合わせください。

kdx.co.jp

また、Customer Successチームメンバも募集してますので、一緒にチャレンジしてみたいと思った方は、是非コンタクトをお願いします!

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