エンジニア向けに非技術研修プログラムを整備している話


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こんにちは!KADOKAWA Connected(KDX)Integrated Data Service(IDS)部 塚本です。

この記事は何?

最近、テック企業のエンジニア研修内容の公開が盛んです。

blog.cybozu.io

mixi-developers.mixi.co.jp

KADOKAWAグループのDXを推進するテック企業であるKDXでも新卒向けに技術/開発研修を行っているのですが、IDS部では非技術面での研修の重要性を痛感し、エンジニア向けの非技術研修の整備を試している最中です。

この記事では、なぜエンジニア向けに非技術研修が必要と思い至ったのか、どのような研修プログラムを整備しているのかを紹介します。

現在実施している(2022年度)KDXの研修制度について

KDXでは、現在、入社された方に以下の研修プログラムを提供しています。

  • KADOKAWAグループ共通の基礎的なビジネススキル研修(新卒向け)
  • 技術研修(新卒向け)
    • Git/GitHub研修
    • プログラミング言語研修
    • セキュリティ研修
    • など
  • チーム開発研修(新卒向け)
  • ランプアップ(配属3ヶ月後目標設定)(新卒/中途向け)
  • KDX固有の商習慣に関する研修(新卒/中途向け)
  • eラーニング(新卒/中途向け)
    • 知的財産権研修
    • ハラスメント研修
    • など

KDXは2019年4月に創業した比較的若い会社なので、毎年研修プログラムは見直され拡充を続けています。また、研修プログラムも人事が全て決めるのではなく、エンジニアが連携して自分達でより魅力的にする形になっています。

 この記事に書いている非技術研修の整備もKDXの一部署であるIDS部からスモールスタートして成功した部分があれば、会社全体の取り組みとして昇華してもらうという前提にたって進めています。因みに、IDS部はKADOKAWAグループのデータ活用を促進するために様々な関連サービスを提供している部署です。

engineering.kdx.co.jp

なぜエンジニアに非技術研修が必要と思ったか

前述の通り、KDXでは充実しているとまでは言えないまでも一般的な研修プログラムが整備されています。

では、どこに不足があると感じたのでしょうか。最近たまたま流れていたTweetに、自身の課題感が端的にまとまっていたため引用します(スレッドの内容含む)。

つまり、

  • 会社が全体としてどのように回っているか(経営)を知り、ステークホルダー(利害関係者)と適切なコミュニケーションを取ることができなければ、エンジニアリング業務は正しく機能しないし評価もされない
  • エンジニアが昇格(CTO, VPoE, エンジニアマネージャー, テックリードなど)もしくは昇給すると、あるタイミングから突然、技術力以外の能力や知識が求められるようになる

ということがあるのです。

エンジニアとして技術力を高めることは非常に重要です。ただ、その高めた技術力を会社が望む方向に正しく使えなければ評価されないのです。

例えば、あなたは、ある事業Aのシステムaを担当するエンジニアです。システムaに技術的負債が溜まってきたのでリファクタリングをしたいと思っています。しかし、事業Aは売上が減少傾向にあり、経営層に事業のV字回復は見込めないと判断されていたとします。そういった場面で、あなたが「システムaには、いけていない部分がいっぱいあるので、大規模にリファクタリングをしたいです。」と進言しても普通は通らないでしょう。「リファクタリングにかかる工数はどれくらいで、カネに換算するといくらの支出になるのか。」「リファクタリングしたことにより、事業Aにとって何の恩恵があり、その投資を回収できる見込みがあるのか。」と問われるはずです。

事業Aのステークホルダーの関係図

上記の例は、経営層や管理職が、ただただ技術のことを分かっていないから起こるというわけではありません。それと同じくらいエンジニアが非技術のことを分かっていないことにも原因があります。

会社が利用可能な資本(カネ)は、株主から投資してもらったり、銀行から融資してもらったものが元手になっています。資本は持ち主にいただいた額より多く返さなければなりません。それを、経営層は株主や銀行と約束しており、その約束を果たさなければならない責任を負っています。

先程の例を振り返ってみましょう。事業Aは売上が減少傾向にあり回復の見込みがないとありました。そんな中、事業Aのコストも増えうる大規模リファクタリングをすることになれば、経営層は株主や銀行との約束を果たすことができなくなる可能性が出てきます。だから、技術のことが分かっていても塩漬けにする判断が行われることもありうるのです。しかし、ここでもし、エンジニアが「今回のリファクタリングをすることで、今まで4人で面倒を見てきたシステムaを2人で回せるようになります。余った2人は事業Bのシステムbの新規機能開発に回すことができます。」というような提案をできれば、リファクタリングは行われるかもしれません。

勿論、全てのエンジニアが、このような提案をできるようになるべきとは思いません。ただ、昇格や昇給をするということは、それだけ経営層の立場に近づいたりコストが増えるわけですから、会社に貢献するバリューの期待も高まるものです。ですので、自分でやるかはさておき、誰かに期待を適切にコントロールしてもらわないとエンジニアリング業務を自由にできなくなるということは認識しておいた方がいいでしょう。

どのような非技術研修プログラムを整備しているか

こうした課題感を発端として、IDS部では勤続年数別研修プログラムというものを整備・実施しています。まだ試験段階ではありますが、以下のような研修プログラムを整備しています。

シニアエンジニアになる前に知識として見聞きしておいた方がいいことを洗い出し、研修プログラムに組み込んでいます。マネージャー職にならずとも、これらを知っていれば、どのような場所で働いたとしても自らの力で職場環境をより良い方向に変えられるようになるということで、最近入社された新卒の方には積極的に受講してもらっています。

と、カッコいいことを言っていますが、まだ研修プログラムを安定して提供するための体制は整えきれていません。今後、どこまでの範囲を外注/内製するのかを決め、ルーチンワークにしていけるようにする必要があります。

手探りな部分も多いですが、自分が(KDX入社前)システムリーダーや課長、部長になった時は「君ならできるよ。」で任せられ、体系的な研修が全くない状態でした。そうして必死に独学したからこそ身になったということは否定しませんが、それを自部署のメンバーに強要するのはマネージャー失格だと思うので、無いよりはマシという気持ちで試行錯誤を続けています。やはり、「僕らの時は、そう言ったことは業務時間外に独学したものだ。」という気持ちを排し、「負の連鎖は自分の代で断ち切るぞ!」という気持ちになることが大事と思います。

まとめ

というわけで、この記事ではKDXのIDS部で『エンジニア向けに非技術研修プログラムを整備している話』を紹介しました。

KDXに興味を持ってくださっている方は、この記事を通してKDXに応募する際の安心に繋がればいいなと思います。他のテック企業に興味がある方は、この記事を通して技術力以外のスキルについても勉強するきっかけになればいいなと思います。

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